東南亜細亜掬魚紀行外伝
植物漫遊記


東南亜細亜掬魚紀行番外編2004
ツアーパックでゆく
メキシコ植物漫遊紀

突然ですが、小生いわゆるケッコンというものをしてしまったのであります。疲労宴もとい披露宴の後は、おきまりの新婚旅行となるわけですが、行く先はメキシコ。およそ新婚旅行らしからぬ場所ですが、嫁の希望は「遺跡とビーチ」とのことでしたので、色々調べた結果ばっちり当てはまるのはメキシコのユカタン半島のリゾート地、カンクーンだったのです。メキシコのユカタン半島といえばマヤ文明などの遺跡が点在する観光地ですし、カンクーンはユカタン半島の先端にあるリゾート地でアメリカ人が大勢訪れる有名なビーチです。さらに嬉しいことにメキシコは多肉植物やサボテン、ブロメリアなどの原産地であり、園芸家にとっては夢のような所です。というわけで、今年の海外遠征は新婚旅行も兼ねて(?)メキシコへ出撃となったのであります。

メキシコシティー市内

福岡→成田→ダラス→メキシコシティーと飛行機を乗り継いで十数時間、ようやくメキシコシティーに到着しました。メキシコシティーの標高は2000メートルほど、さすがに酸素が薄く、また乾燥、排ガス、時差の四重苦にほとほとまいってしまいました。現地時間の午後4時頃にホテルへ到着。まだ充分陽が高いのでホテル近くの国立博物館に行ってみることにしました。オルメカ、マヤ、アステカ等の文明の遺物が多数展示してあり、うちの嫁など一番「キーキー」喜びそうな所ですが、例の四重苦で朦朧としており、今にも倒れそうでした。国立博物館はメキシコシティー最大のチャプルテペック公園内にあり、大きな木が沢山茂っています。ブロメリアや蘭などの着生植物がないか目を皿のようにして探しますが全くみつかりませんでした。街路樹の植え込みの下草にクンシランが沢山植えてあるのが印象的でした。また、赤い花を付けるバンクシアやブーゲンビレアが沢山植えられており、時折ハチドリが蜜を求めて飛び回っていました。

クンシランの植え込みです。 鮮やかなバンクシアの花
(オーストラリア原産)
メキシコシティー市内:大統領府庭園

一夜明けてメキシコの市内観光です。今回はJTBの「メキシコシティー・カンクン:遺跡とビーチ8日間」というツアーでしたので、現地日本人ガイドに連れられて市内を巡ります。今回のガイドはユニエクスプレスという現地ツアー会社の日本人ガイド:K女史(鹿児島県出身)でした。とても良い方で、メキシコシティーで快適に過ごすことができました。多謝!!

市内では色々な場所を廻り、大統領府のなかにも入ることができました。コロニアル風の中庭のある建物ですが、中庭が二つあり、正面手前の中庭は石畳で中央に噴水が配されており奥の方の庭に多肉植物の庭園がありました。K女史によるとメキシコではこれが普通なのだそうです。歩き回っているうちに、気づいたら私が植物ガイドをしておりました。はははは・・・

メキシコの大統領府
これはPuyaでしょうか?
大きい!でもこれ地中海産では?
日本でもおなじみの品種ですね。手前は“虹の玉”
どうやら溶岩礫で作ったロックガーデンのようです。
アロエ?アガベ?ブロメリア?
とてもかわいらしいユッカ?アガベ?巨大ですが・・・
メキシコシティー近郊:ティオテワカン遺跡

1日目の午後からはハイウエイでティオテワカンに向かいます。郊外に出るので、市内では見かけなかったブロメリアが見られるのではないかと私の期待も膨らみます。嫁は嫁で、あこがれの遺跡に向かうので上機嫌です。1時間弱のドライブですが、道の両側にはスラム化した不法入植者の住居やトウモロコシ、食用サボテンの畑が拡がります。路肩に時々ピンクの花が風に揺れているのが目に入ります。原種のコスモスです。コスモスはメキシコ原産なのです。そして巨大なアガベ。日本では竜舌蘭と呼ばれますが、こちらではマゲイと呼ばれてテキーラの原料となる植物です。植えてあるのか勝手に植わっているのか、至る所に生えています。

風に揺れるピンクのコスモス
こんな感じで、ぽつんと生えてます。

遺跡に到着すると、敷地内の道路はかなり混雑しています。日本でもそうですが、観光地は昼過ぎが一番込みますからね。ゆっくり進む車の窓から敷地内の木を眺めていると、枝に何かもじゃもじゃしたものがくっついています。ティランジアです!遂にお目当てのブロメリアに出会うことができました。ひとつに気付けば、次々みつかります。かなりの数が幹や枝にくっついています。そして、お約束の電線に着生している株を発見!レクルバータ種と思われますが、ここではこの種類のみしか発見できませんでした。しかし大満足です。

10月末現在、雨期の終わりですが気温32℃、湿度19%(午後3:00)と乾燥しています。これから乾期になりさらに乾燥が進むのでしょうが、このあたりは夜間霧が出るのだそうです。

太陽のピラミッド
ピラミッドの頂上から:このあたりにはティランジアはあまり見かけませんでした。 このあたりは比較的木が密生しています。このあたりではよく見かけます。
ウチワサボテンの大株に着生
お約束のまっくろくろすけ
比較的開けたところではまばらです、
木が多いところには5センチほどのクランプをみかけます。


メキシコシティー近郊:ソチミルコ

三日目は移動日ですが、カンクン行きの飛行機は夕方ですので午前中はメキシコシティーの南方にあるソチミルコに行ってみました。メキシコシティーはかつては大きな湖だったのですが、アステカ時代から埋め立てが進み、現在は見る影もありません。アステカ時代は農地の間を縦横無尽にクリークが張り巡らされていたようです。その名残がソチミルコの水路です。

船頭のおじさん
両側のイトスギにはT・レクルバータが沢山着生
T・レクルバータ

遊覧船に揺られてクリークをゆっくり進むと川縁に園芸店が有りましたので上陸して物色してきました。やはり気候的な関係でしょうか。多肉植物中心の品揃えでした。ぼくはいわゆる「多肉屋」では有りませんので、実際の所は判りませんがほとんどが日本でも手に入る品種のようです。そう考えると日本って何でもあるんですね。水路自体にはホテイアオイとアナカリスが浮いて居るのみであまり面白そうな草はありませんでした。

サボテン、多肉中心の品揃えです。
やはり気候的に育てやすいのでしょう
Dyckia?
棚下にビルベルギア発見
Butterfly flower
ハチドリの花
 
メキシコシティー近郊:クイクイルコ遺跡

ソチミルコの帰りにクイクイルコ遺跡へ立ち寄りました。ここは溶岩流に飲まれて滅びた遺跡で、崩れかけたピラミッドや出土品を展示する博物館があります。また広大な敷地内には遊歩道が整備されており、溶岩台地に育つ植物を見ることができます。季節的には日本の秋を想像していただければよいのではないかと思います。2000年前の溶岩が起伏の多い複雑な地形を作っており、様々な育成環境の植物が見られるようです。盛り上がった岩上にはサボテンや多肉植物が見られ、窪地にはおそらくアマリリスの仲間と思われる比較的湿気を好む植物が見られます。このアマリリス(?)は至る所に見られますが、残念ながらすでに結実しており花はひとつも見られませんでした。また開けた場所にはコスモスやキク科の植物が一面に咲き誇っていました。

オナモミそっくりの花
オナモミの仲間と思われますが、巨大です。
朝顔。沢山見かけます。
ユニークな形の花、なんという名前でしょうか?
一面に咲いていた小型のキク科植物
こちらはさらに小型
ウインターコスモスでしょうか
赤いスポットが入る個体
黄色のみの個体
一抱えもあるエケベリア
エケベリア。岩上の茂みの中で開花しています。
ブルーのサルビア
鮮やかなオレンジのバラ科植物
ウチワサボテンは岩上に自生
これは何でしょうか
これも判りません
いわゆるマツバギクに近い植物。
羽のないバッタ(雄)
体が横広いのが雌、色は様々。「世界丸見え〜」でメキシコ料理を紹介してたけど、これを唐揚げにして食べてました。

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