Tillandsia carminea
最近は実生苗と思われる株が流通するようになったためか、比較的目にする機会が多くなったティランジアです。見た目がよく似ているT.テヌイフォリア(小型で葉の硬いタイプ)がカルミネアとされて流通していたこともあり、以前は本物に出会うことのむずかしいティランジアでした。
1830年にT. ロゼア(rosea)というティランジアが記載されました。しかし、現在では植物の標本は失われてしまい、当時の彩色画とラテン語で書かれた文献が残るのみで、研究者を悩ませる謎の植物でした。(現在、T.
ロゼアは不完全に開花したT.ストリクタだったのではないかといわれています。)
戦後(おそらく1949年)、リオデジャネイロ州のオルガン山でロゼアではないかと思われる植物が発見され、以後ロゼアとして少数が研究者の間で維持されていたようです。この植物が現在のカルミネアです。ストリクタによく似たロゼアの彩色画とはまったく異なりますので、1981年にウォルター・ティル氏によってストリクタやネグレクタに近縁な新種のティランジアとして記載されました。ちなみに1977年に発行されたFLORA
NEOTROPICAにはカルミネアがロゼアとして記載されています。
自生地は標高500mにある急斜面で、周りにはT.スプレンゲリアナが自生しているそうです。
参考文献
BLASS, J.Brom.Soc. vol 28: p32-34. 1978
Weber, J.Brom.Soc. vol 32: p239-246. 1982
Till, Pl.Syst.Evol. 138, 293-295 (1981)
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