BROMELIADS


Tillandsia atroviridipetala

T. プルモーサやT. マウリアナに近縁な小型のティランジアです。アトロビリディペタラとはダークグリーンの花弁という意味で、その名のとおり真っ赤な花序に緑の花をつけます。
分類学上、かつてはT. プルモーサやT. マウリアナとされていたようですが、1957年に故・松田英二博士によって独立した種として記載されました。
基本変種の記載地はメキシコ、プエブラ州のテワカンですが、分布域も広いためいくつかの変種が発見されています。
比較的乾燥した環境で、ブッシュによってほどよく遮光された風通しのよい環境に自生しています。
また、オアハカ州の自生地では標高1500〜2000mの地域に分布し、それより高い場所にはほとんど見られなくなるようです。

2010年と2012年の二回、筆者はオアハカ州の自生地を訪れました。その際気づいたことを少しまとめてみたいと思います。

まずは、大雑把に分けて形態的に二つに分かれるということ。もちろん、これは自生環境の違いが影響している可能性があります。しかし、地域変異の可能性も捨て切れません。

具体的にはオアハカ州北部〜北西部の乾燥した丘陵地帯には主に小型で葉の屈曲が強い個体群が見られるということ。ちなみに上の写真の個体がそれに当たります。オアハカ州中央部以南では葉がまっすぐに伸び、小型のプルモーサを思わせる個体群を見ることができます。

空中湿度や周りの植物による遮光の程度などが影響している可能性もありますが、それだけでは説明のつかない部分もあります。

   
↑ ワフアパン・デ・レオン近郊。T.レクルバータが着生する中に
小型のアトロビリディペタラが混じっています。
 ↑トラヒアコ近郊の個体
   
 ↑トナラ近郊  ↑小型でコロンとした形の個体群
   
 ↑ミトラ近郊の丘陵地帯。標高約1600m  ↑ミトラ産の個体
   
 ↑ティオテトラン・デル・バジェ近郊の個体。ここは比較的遮光が強い環境  ↑サン・マテオ・ペナスコ近郊の自生地
   
 ↑両タイプの比較です。
ワフアパン・デ・レオン VS サン・マテオ・ペナスコ
 ↑ミトラ産個体



Tillandsia atroviridipetala var. yagulensis

2009年に記載された変種です。基本変種よりも葉の幅が広いことと、花序の形状が異なるようです。オアハカ州のヤグールにある岩山の岩上に着生しています。



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