クチン市街

サラワク州の州都であるクチン。クチンとは「猫」のことである。英国統治時代の建物なども多く残っており、採集旅行だけでなく、ぶらりと訪れてみるのにもいい町である。

サラワク川

クチン市内を流れる大河。潮の干満の影響を受ける汽水域でもある。ヒルトンなどの高級ホテル街からマーケットまで続く川沿いの歩道。夕方にはやたらと人がぞろぞろ歩いている。この辺ではあまり魚を見かけなかったが、少し離れると色々見ることができる。

ジャイアントマッドスキッパー

とにかく大きい。30センチ近くあるトビハゼ(?)。泥の川岸に多数見かける。闘争する姿はトビハゼというよりムツゴロウに近いようだ。潮の干満の関係か、水面から1メートルほど上のゴミの上に乗っていたりする。

アーチャーフィッシュ

船着き場などの水没したストラクチャーがある場所に2〜3匹の群で泳いでいる。15センチほどある個体も見かけたが、5〜10センチほどのものが多いようだ。マレー半島ではいわゆる普通のアーチャーフィッシュを見かけたが、ここではエイトスポットアーチャーだ。

クチンモスク

マレーシアはイスラム教の国でもある。イスラムの寺院であるこのモスクからは、夕方コーランを読む声が聞こえてくる。

サンデーマーケット

日用雑貨からペットまで売っているサンデーマーケット。ここで見かけた熱帯魚屋。プラティなどの他に中大型シクリッドやオスフロ等が売られている。写真の水槽に入っているのはゴールデンとレッドフィンタイプのオスフロ。



クチン近郊

ブラックウォーターの川

Jalan SatokからRahaman Yakub橋を通り、ロータリーをマタン方面に向かうと、シェルのGSがあるT字路になる。マタンに向け右折し、5分ほど走ると、幅20メートル程のこの川がある。ジャングルからのブラックウォーターが、道路わきの溝を通って流れ込んでおり、この溝で色々な魚が見られた。

ラスボラ・カロクロマ

赤い水の赤いラスボラ。かつての東南亜細亜三悪の一つ。赤い体色と、体側のグリーンの輝きが美しい。

ベタ・クリマクラ

これは3センチほどの個体。とにかくどこにでもいる。大きなものは10センチを超える。大きな雄個体は尾鰭の真ん中が伸長する。

ここで採集したベタ・クリマクラの成熟個体と
私のケズネ(靴のサイズは25です)

その他に、ここではプンテウス・ペンタゾナレッドラインラスボラ、チョコレートナンダス、ヘミランフォドン、スネークヘッドなどがみられた。

馬按路(Ma-onn-road)

クチンからマタンに向かってまっすぐ走ると、道の右側に、ジャングルの中に向かってまっすぐのびる舗装された脇道がある。道の入口には30×60センチぐらいの標識があり、「馬按路(ma-onn-road)」と書かれている。雨期明けの4月には、この脇道の両側を澄んだブラックウォーターが流れていた。ここでは場所的に近いこともあり、前述のBWの川とほとんど同じ魚が採集できた。

プンテウス・ペンタゾナ

赤褐色と黒のバンドのプンテウス。BWの赤い魚の例に漏れず、状態が良くないと発色しない。現地では1〜5センチの個体が採集できた。

(P協力:めだかや)

クロコダイルフィッシュ

これは3センチほどの個体。10センチ近い個体から、口からでたばかりの1センチに満たないものまで見られる。

ここは非常によいポイントで、水草は丸葉のバークラヤ、ヤナギスブタ(?)、レッドカモンバ(?)などが見られた。右の写真の水面に浮いているのはカモンバで、一面にピンクの花を咲かせていた。また、ここでは驚いたことに、ケラ.sp ルビーバルブを採集することができた。雑誌に謎の魚として紹介されていた直後に採集できるなどとは思ってもみなかった。残念ながら輸送中に全滅してしまったが・・。

1年後の8月にここを訪れてみたのだが、乾期の真っ最中で、水量が少なくなって明らかに水質が悪化しており、ほとんど採集はできなかった。有るのは直径が20センチもあるグーラミーの泡巣だけだった。

2000年の7月にここを三度訪れたが、流れの上流部で道路工事が行われており、細流には重油の油膜が浮いていた。クチン近郊では、こういった開発が至るところで見られ、ジャングルが消滅しつつある。

 

カカオ畑

スティグマトゴビウス・ブロッキィ

マタンに向かう道を左に折れ、Batu Kawa方面に向かう。このまま進めば、いずれLunduへ向かう道とのT字路に行き着くはずである。左に折れてから1Km程進むと交差点がある。この交差点を左に曲がってみる。少し行くと民家があり、その脇には道と交差して、ブラックウォーターの小川がカカオ畑の中を流れている。この小川には、粗末な木の橋が架けられており、その橋の下に、ポンテデフォリア種と近縁と思われる、小型の丸葉のクリプトコリネが群生していた。ここでは、ベタ・クリマクラ、ヘミランフォドン、スネークヘッド、バンブルビーゴビー、そして、写真のゴビーが採集できた。この魚は中層をホバリングするように泳ぎ廻り、背鰭から側面にかけてのラインが、何ともいい感じの魚である。飼育は容易で、何でもよく食べる。サファイアブルーの眼がポイント。(撮影実長2cm)

2000年7月、再びここを訪れたが、細流の上に影を落としていたカカオの木が伐採されており、クリプトコリネは消滅していた。

2000年7月のカカオ畑

真ん中に細流があるのだが。流れの両側にあった木が伐採されている。大きな工事が行われたのではないが、この程度の環境の変化で、クリプトは簡単に消滅してしまう。

バークラヤ・モトレイ

上の写真の左側の森で見つけた。クリプトが消えたポイントでは、こいつが繁茂していることが多い。クリプトが繁茂している場所でも同じように見ることができる。



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