BROMELIADS


ブロメリアとは?
中南米(熱帯から亜熱帯)に広く分布する植物です。日本で最も有名なブロメリアといえば、それはパイナップルです。そのため日本では“パイナップル科”またはその学名、Ananas comosusから“アナナスの仲間”と表記される事が多いようです。パイナップルは普通の植物と同じように土に根を張る地生種ですが、多くのブロメリアが木や岩の上にくっついで生活するいわゆる着生植物です。また園芸植物として栽培されるブロメリアのほとんどが着生種です。

着生種、ティランジア・ファシキュラータ(チチェン・イッツァーにて)
↑地生種、ディッキアの仲間(長崎バイオパークにて)
着生種の根は体を固定するためだけのもので、水や栄養分を吸収するためのものではありません(もちろん例外はあります)。つまり、根が無くとも環境が整えば生きてゆくことができるのです。これらの着生種は根のかわりに、葉の表面にある特殊な構造(トリコーム)や、葉の根元のタンクから水や栄養分を吸収します。そのため乾燥に強い種類も多く、また花色の派手なものが多いのでインテリアプランツとしても人気があります。“グズマニア”“〜アナナス”“エアープランツ”“クリプタンサス(地生種)”“チランドシア”等の名前で園芸店に出ています。
↑Tillandsia ionanta "Druid"のトリコーム
葉の表面に見える細かい毛のようなもの、これがトリコームと呼ばれる葉の表面から水を吸収するための特殊な構造です。エアープランツと呼ばれる着生ブロメリアの代表選手がTillandsia(ティランジア)の仲間です。Tillandsiaはトリコームによる水分吸収を主に行う銀葉系、トリコームのかわりに葉の根元のタンクから水を吸収する緑葉系に分けることができます。
↑Neoregelia "Fireball"の貯水タンク
トリコームを持たない着生ブロメリアのほとんどが葉の根元に貯水タンクを持ち、ここから水分を吸収します。葉の根元は漏斗を半分に割ったような形をしており、この部分にできる隙間が貯水タンクとして機能するのです。また放射状に拡がった葉は雨水を受け止め、雨樋のように水をタンクに流し込みます。さらに草体中央のくぼみも貯水タンクとして機能します。
この草体中央のくぼみを主な貯水タンクとするのが、ビルベルギア等の筒形ブロメリアです。これはより乾燥に適応した結果と考えられています。まとまった量の水が期待できない環境では、この水分は貴重らしく、ヤドクガエルが産卵場所として利用しているのはよく知られています。
またギアナ高地に分布する筒形ブロメリアのブロッキニアの仲間は、筒の中に消化酵素を分泌し、落下した昆虫を消化吸収する食虫植物へと進化しています。
ブロメリアの花の構造
形のおもしろさによる観葉植物としての楽しみの他に、非常に派手な花色もブロメリアの大きな魅力です。一般的にブロメリアは花保ちが良く長期間楽しめるとされていますが、実は、花の寿命は長くても数日、短い物では数時間と非常に短命です。私たちが一般にブロメリアの花として鑑賞しているのは、実は花序と呼ばれる花の集合体なのです。また、分岐して非常に豪華な花序をつけるものもあり、これら分岐した小さな花序をspike(スパイク:穂状花序)といいます。
 
ブロメリアの種子
様々な環境に適応しているブロメリアは様々な形態の果実をつけます。エクメアのように小さな実を付ける物、パイナップルのように果実をつける物、そして樹上や岩上に着生して生活しているティランジアは、タンポポのように綿毛をもった種子を飛ばすことで分布を広げます。

T.tenuifoliaの果実。大抵のティランジアはこのような種のつまった莢状の果実をつけます。

果実が成熟すると莢がはじけて綿毛の着いた種子が現れます。しかし成熟するまでかなりの時間を要します。


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