POINT-1

何気なしにのぞき込んだクリアーウォーターの川。まず目に入ったのは美しいウォーターローン(ミミカキグサ)の群落だ。美しいライトグリーンの水中葉を展開している。僕はこの場所に何かを感じた。「何か出そうだぞ」まさににおう場所なのだ。僕は網を入れてみることにした。

川底に展開するウォーターローン。流木表面にも活着する
ミミカキグサ、ツユクサ、シダの仲間・・・水上に露出した部分に花を見つけた。

川岸に降りると、上流に向かって左側から支流が流れ込んでいる。ボルネオのLunduに非常によく似ている。本流の中にラスボラが泳いでいるのが見える。すくい上げると、レッドラインラスボラ、ラスボラ・アギリス、トリゴノスティグマ・ヘテロモルファが網に入ってきた。やはり現地ならではの美しい体色だ。

支流の流れ込んでいる場所には一本の木が生えており、根元が小さなワンドになっている。こんな場所にはよくクリプトコリネが生えているのだ。水中をのぞき込むと落ち葉が泥をかぶって堆積している。これがクリプトなどという都合がいいことはないだろうと思いつつ、水中の落ち葉をつまみ上げると・・・「ぶちっ」。何かがちぎれる感触が伝わってきた。

なんと、落ち葉だと思っていたのはクリプトの群落だったのだ!

Cryptocoryne sp.cf.nuri

増水で水没した水上葉と思われる株
やや水深のある場所の水中葉

葉の形状、分布域、さらには周りの環境から考えてクリプトコリネ・ヌーリーの可能性が高い。サンプルをスペシャリストに渡してあるので、現在開花待ちの状態である。種類が判明次第レポートしたいと思う。

Betta fusca

ビンタン島のいろいろな場所で採集できたプグナックス系のマウスブルーダーだ。ここで採集した個体が特に美しかった。クリアーウォーターからうっすらと色づく程度のブラックウォーターに生息している。本来ベタ・フスカはスマトラ島に分布しているのだが、ビンタン島に生息する他種の記載文献等にフスカの分布が記載されているので、今回はフスカとして掲載した。

若い雄。体型は非常に美しい。
老成した雄。上手に飼い込めばここまで発色するはずである。ブルーのスポットが美しい。
現地で採集直後の個体



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