3日目
三日目はクチン南部にあるパダワン近郊の、比較的標高の高い地域を探索しました。
この辺りになると、マレーシアでは標高の高い場所で見られるヤブレガサウラボシの仲間も目にすることが出来ます。
まずはボルネオハイランドに向かって車を進めます。
しばらく行くと、先日紹介した謎の着生樹木が見えてきました。
今年はこいつの正体解明も目的の一つです。帰りに別の場所で小さな株の確認をする予定になっています。
次第に標高が高くなってくると、通り過ぎる橋の下の川も渓流になってきます。
川沿いの空き地に車を停めて、川の周りを観察していると、新芽がピンク色になる可愛いシダを見つけました。
荒れ地に沢山生えているシダですが、新芽がとてもきれいです。
写真を撮っていると、近くのノボタンの上に変な形のツノゼミを発見
ボルネオハイランドの入り口を過ぎると、キリスト教の協会があってその前には立派な板根のある大木がいくつも並んでいます。この木にはドリナリアや着生ランが沢山着いていました。
パダワンに向かう道路から脇道にそれて、去年ホヤを採集した場所に向かいます。この近辺からヤブレガサウラボシの仲間が見られるようになってきます。
途中着生シダのネフロレピスを発見。タマシダの仲間ですが、葉の長さが4m以上にもなります。
高い木の上にあったので採集はあきらめてしまったのですが、今考えると、がんばれば何とかなったかもしれません。
ちょっと後悔してます。
しばらく行くと目的の橋が見えてきました。
ここの渓流には珍しいヤブレガサウラボシ(ディプティリス)の仲間が自生しています。
去年はディプテリスの川から引き返したのですが、今年はその先へと向かいます。
この付近の道は傾斜のきついところだけ舗装して後は砂利道、という必要最小限だけどちょっと嬉しい山道です。
こういった砂利の部分には水溜まりがあったりして蝶の群が吸水しています。
黄色い蝶の群を撮影しようと車を停めて辺りを見回していると、道路脇の倒木の上に黒いトゲトゲの固まりがあるのに気付きました。
ミルメコディアです。残念ながら枯れていましたが、ここにもアリ植物があることがはっきりしました。
倒木にはホヤがからみついていましたが、よく見ると小さなパキセントレアがくっついています。すかさず採集して観察していると。
不意に背後から声をかけられて本当に飛び上がってしまいました。
全く気配がなかったのですが、地元のおじさんが立っていました。
僕が手に持っているホヤを見てこれはチューインガムになるのだと力説していました。
確かに樹液はゴム状になりますが・・・ホヤを食うのか?
先に進むと道は村の中で終わっていたので、引き返すことにしました。
帰る途中、来るときには気付きませんでしたが、アグラオモルファの子株を発見しました。
パダワンに向かう道に戻って、さらに進むと大きな株を発見しました。
近くにはヒドノフィツムの大株が
他にももう一株見つけましたが大きすぎて採集は断念しました。
ドリナリア・リディギュラの大株。
ここから空模様が怪しくなってきました。しばらくすると前も見えないほどの土砂降り。泣きそうになりながらも例の着生植物の所に辿り着きました。
結論から言うと、こいつの正体はパキセントレアでした。
根元の部分をよく見ると、特徴的な根塊を見ることができます。
このあとまだ時間的に余裕があったのでC.uenoiの自生地へ向かいました。
増水していましたが、なんとか数株採集することが出来ました。
悲しいことですが数年後はここも消滅しているかもしれません。
数年のうちに道路拡張工事が始まるはずです。
4日目
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