東南亜細亜掬魚紀行外伝
植物漫遊記


ボルネオ紀行2007
石灰岩地帯のイワタバコ科植物

イワタバコ科植物も世界的に広く分布している植物です。美しい花を付ける物も多く、園芸植物として親しまれている物も少なくありません。代表的な物としてはアフリカ原産のセントポーリアが有名でしょう。基本的には石灰岩地帯などのアルカリ土壌を好む物が多いようです。数年前にサラワク州の石灰岩地帯であるバウ近郊で、偶然イワタバコ科植物を見つけたのですが、何という種類なのか全く見当も付きませんでした。というのも普通の植物と違って、たった1枚の葉だけしか持たない一葉種といわれるものだったからです。イワタバコ科の一葉種といえばアフリカ産のストレプトカーパス属が有名ですが、恥ずかしながら当時は東南アジアにも一葉種が存在することを知りませんでした。

東南アジア産の一葉種はモノフィラエア(Monophyllaea)属と呼ばれ、サラワク州では23種発見されているようです。今回はバウ近郊でじっくり時間をかけて捜してみることにしました。

Monophyllaea singularis

大きな岩の割れ目に群生していた大型のモノフィラエアです。大きな個体は葉長50〜60cmもあり、一見畑のサトイモのようです。これを見つけたときにはあまりの大きさに大変驚きました。茎の背面に多数の花を付けるスタイルからMonophyllaea singularisでよいと思います。

↑岩の割れ目の、直射日光が当たらない場所
↑根元は比較的乾燥していますが、空中湿度は高いようです。下は水面
↑不釣り合いなほど可愛い花
Monophyllaea glauca

常に地面が濡れているような湿潤な環境で見られたのがこのタイプのモノフィラエアです。葉に斑のはいる個体とそうでない個体が見られましたが、おそらく個体差と思われます。葉の表面がつるつるして光沢があるのが特徴です。

↑斑入りの個体
↑斑の入らない個体
↑花はとても可憐です。
不明種1

Monophyllaea glaucaと一緒に生えていたイワタバコ科植物で、一葉種ではなく寡葉種といった方がよいかもしれません。葉の表面に細かい毛が生えているので光沢が無く、Monophyllaea glaucaとはすぐに区別できます。花は非常に小さく、花弁の先端にうっすらと紫が乗ります。Epithema 属かもしれません。

↑葉の表面は細かい毛があって光沢がない。
↑右側の花弁が虫にかじられてます。
 
不明種2

こちらは比較的乾燥した環境に見られた小型のイワタバコ科植物です。中国産のキリタ属の様な可憐な花を付けています。写真では判りづらいかもしれませんが、右側の株は細長い果実を付けています。

 
 
不明種3
これもおそらくイワタバコ科と思われます。



BACK


Copyright(C). Ichiro Ueno. all right reserved.