とある湿地帯のわきを通過したときのことです。それまで道路脇に沢山生えていたナリヤランの白い花に混じって、なにやらやけにピンク色の濃い花が目に留まりました。車を停めて確認するとそれは湿地性のバンダの仲間、Vanda hookerianaでした。まさかこんな所で出会えるとは思っていませんでしたので喜びもひとしおでした。日本ではあまり普及していませんが、その理由は一目瞭然、高湿度の炎天下という非常に再現しにくい環境に自生しているからでしょう。また、一般的なバンダが完全な着生種であるのに対し、このフッケリアナには着生するための根はあまり発達していないようです。むしろ水底の泥の中にがっちりと根を下ろしているようで(引っ張ってもびくともしませんでした)、むしろ地生種的な性質が強いのではないかと想像できます。
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